「学校に行けないのは、ただ甘えているだけなのかな…」
「休ませていると、甘やかしすぎにならない?」
「不登校になってから甘えが強くなった気がする…」
そんなふうに、お子さんへの接し方に迷っている親御さんもいるのではないでしょうか。
不登校は、「甘え」の一言だけで説明できるものではありません。
不安や生活リズム、学習、人間関係など、さまざまな背景が関係している場合があります。
また、親御さんへの甘えが増えたように見えるときも、安心したい気持ちや助けを求める気持ちが表れていることがあります。
ただ、「気持ちを受け止めること」と「本人の要求をすべてそのまま通すこと」は別です。
どこまで受け止めればよいのか、境目が分かりにくいですよね。
保護者の声甘やかしているだけなのかもしれないと思うと、どう接すればいいのか分からなくなります。
ひかりすまいるアドバイザー甘えかどうかを決めるより、今どんなことに困っているのかを見ると整理しやすくなります。
親御さんだけで判断しにくいときは、学校や相談先と一緒に考えることもできます。
こちらの記事では、
- 不登校と「甘え」の捉え方
- 「甘え」と「甘やかし」の違い
- 「甘え依存型」と呼ばれる状態
- 甘えが強く出る時期と家庭での接し方
- 不登校について相談できる窓口や居場所
などについて、分かりやすくご紹介します。
不登校は「甘え」なのか?まず知っておきたい結論

不登校は、「本人が甘えているから」「親が甘やかしたから」という一言では説明できません。
学校に行けなくなる背景は一人ひとり異なり、不安や生活リズム、学習、人間関係など、いくつもの事情が重なっている場合もあります。
まずは「甘えかどうか」を判断するより、お子さんが今どのようなことに困っているのかを見ることが大切です。
「甘え」の一言では説明できない不登校のしくみ
文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒は353,970人でした。
学校が本人や保護者との相談などから把握した事実を見ると、主に次のような内容が挙げられています。
- 学校生活に対してやる気が出ない等の相談:30.1%
- 生活リズムの不調に関する相談:25.0%
- 不安・抑うつの相談:24.3%
- 学業の不振や宿題の未提出:15.6%
ほかにも、友人関係や家庭生活の変化など、さまざまな状況が確認されています。
ひかりすまいるアドバイザー大切なのは、これらの数字が「不登校の原因ランキング」ではないことです。
現在の文部科学省の調査では、原因を一つに決めるのではなく、学校が把握した事実を複数回答で確認しています。
そのため、「朝起きないから甘え」「ゲームはできるから本当は学校へ行ける」と、外から見える行動だけで判断することはできません。
文部科学省も、一人ひとりのきっかけや不登校が続いている背景を把握し、必要に応じてスクールカウンセラーなどと一緒に考えることを求めています。
心理・医学の視点から見た「学校に行けない」背景
学校に行けない状態の背景には、不安や気分の落ち込み、発達上の特性、睡眠や身体の不調などが関係している場合もあります。
実際に、医療機関を受診した不登校の子ども80人を調べた国内研究では、発達上の特性や精神面の問題、睡眠障害や頭痛などの身体症状が確認されたケースが報告されています。
「学校に行けない=病気」と考えることも、「学校に行けない=甘え」と考えることも避け、今のお子さんにどのような困りごとがあるのかを個別に見ていく必要があります。
心理学のアタッチメント理論には、安心できる相手との関係を「安全基地」として捉える考え方があります。
家庭で緊張がほどけ、親御さんに助けや安心を求めるような様子が出ることも考えられます。
一方で、「安全基地」と日本語の「甘え」は同じ意味ではありません。
日本人の若年成人を対象とした研究でも、安全基地に関する指標と「甘えの受容」には関連が見られませんでした。
そのため、「家で甘えるのは親を信頼している証拠」と一律に説明するのではなく、安心や助けを求める行動として表れている場合もある、と捉える程度が適切です。
※出典:日本小児神経学会「不登校と発達障害:不登校児の背景と転帰に関する検討」/Umemura et al. “Secure Base Script and Psychological Dysfunction in Japanese Young Adults in the 21st Century”
「甘え」と決めつけることがお子さんを追いつめてしまう理由
「甘えているだけ」と決めつけてしまうと、お子さんが実際に困っていることを見つけにくくなる可能性があります。
ひかりすまいるアドバイザーたとえば、学校での人間関係がつらい、勉強についていけない、朝になると強い不安が出るといった状態があっても、「甘え」と捉えてしまえば、その背景を確認する前に話が終わってしまいます。
本人にとっても、「どうせ甘えだと言われる」と感じれば、つらさや困りごとを話しにくくなることは考えられます。
文部科学省は、不登校への支援について「学校に登校する」という結果だけを目標にせず、本人の状況を把握したうえで支援する考え方を示しています。
「甘えさせるべきか、厳しくするべきか」という二択で考える必要はありません。
まず必要なのは、お子さんの状態を見ながら、休養が必要なのか、学校で調整できることがあるのか、家庭以外の支援につながったほうがよいのかを整理することです。
なぜ不登校は「甘え」「ずるい」と誤解されやすいのか

不登校が「甘え」「ずるい」と見られやすいのは、本人のつらさが外からは分かりにくいからです。
家では笑ったりゲームをしたりできるのに、学校には行けない。
昨日までは普通に登校していたのに、突然休み始める。
こうした様子だけを見ると、周囲が戸惑うこともあります。
しかし、家で元気に見えることや好きなことができることだけでは、「本当は学校へ行ける」とは判断できません。
以前は元気だったお子さんが急に行けなくなるギャップ
不登校は、必ずしも長い前兆が目に見える形で続いてから始まるとは限りません。
親御さんから見ると、
- 前日までは学校へ行っていた
- 友達とも話していた
- 家では特に変わった様子がなかった
という状態から、急に朝起きられなくなったり、登校を嫌がったりするように見えることもあります。
そのため、「昨日まで行けていたのだから、今日は頑張れば行けるのでは」と考えてしまうのも不自然ではありません。
ひかりすまいるアドバイザー一方、文部科学省の調査では、不登校のお子さんについて学校が把握した事実として、不安や抑うつ、学業の不振、友人関係、生活リズムの不調など、さまざまな内容が挙げられています。
外からは突然に見えても、お子さんの中では負担が積み重なっていた可能性もあります。
家では元気・外ではしんどいという「見えにくさ」
「学校には行けないのに、家ではゲームをして笑っている」
こうした姿を見ると、「元気なら学校にも行けるのでは」と感じる親御さんもいると思います。
ただ、自宅と学校では求められることが大きく異なります。
学校では、決まった時間に登校し、授業を受け、人間関係の中で長時間過ごします。
学習や集団生活など、本人が負担を感じている場面が学校にある場合、自宅では比較的落ち着いて見えることもあります。
文部科学省が示す不登校の定義も、「一日中何もできない状態」を条件としているわけではありません。
そのため、家で好きなことができているという一点だけで、不登校を「甘え」と判断することはできません。
「学校は行くのが当たり前」という周囲の価値観
ひかりすまいるアドバイザー学校は多くの子どもが通う場所であるため、「嫌なことがあっても学校へ行くのは当たり前」と考える人もいます。
親御さん自身も学校へ通ってきた経験があると、「自分も嫌な日はあったけれど休まなかった」と感じることがあるかもしれません。
しかし、同じ学校生活でも、感じる負担や困りごとは一人ひとり異なります。
現在の文部科学省の不登校支援では、登校という結果だけを目標にするのではなく、本人の状態や背景を把握したうえで支援する考え方が示されています。
学校へ行く・行かないだけで判断せず、「何が負担になっているのか」を見ることが、不登校を理解するうえでは重要です。
配偶者・祖父母・先生から「甘え」と言われたときの受け止め方
親御さん自身はお子さんの様子を心配していても、配偶者や祖父母などから「休ませるから余計に行けなくなる」「甘やかしているのでは」と言われることがあります。
家族の中でも、不登校への考え方が同じとは限りません。
こうしたときに、「甘えか、甘えではないか」を家族同士で決着させようとすると、話が平行線になることもあります。
文部科学省も、不登校の背景を一つに決めつけず、本人や保護者から状況を確認し、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを交えて把握することを重視しています。
家族だけで判断が分かれる場合も、「誰の考えが正しいか」ではなく、お子さんが学校生活のどこで困っているのかを整理する視点が役立ちます。
家族の意見がまとまらないこと自体を、学校の相談担当者やスクールカウンセラーへ相談することもできます。
「甘え」と「甘やかし」はどう違う?責めないための整理

「気持ちを受け止めたら、甘やかすことにならない?」と迷う親御さんもいると思います。
不登校への関わりでは、気持ちや困りごとを受け止めることと、本人の要求をすべてそのまま通すことは分けて考えたほうが整理しやすくなります。
「甘え」=信頼できる相手にSOSを出せる力
「甘え」は、必ずしも悪い行動とは限りません。
お子さんが親御さんのそばにいたがる、何度も確認を求める、一人では不安そうにするといった様子には、安心したい気持ちや助けを求める気持ちが表れていることがあります。
ひかりすまいるアドバイザー心理学のアタッチメント理論でも、人は不安や苦痛を感じたとき、安心できる相手とのつながりを求めると考えられています。
「甘やかし」=お子さんが本当は困っている要求まで通してしまう状態
一方で、気持ちを受け止めることと、すべての要求を認めることは同じではありません。
たとえば、
- 「今日は学校のことを考えるとつらい」という気持ちを受け止める
- 話したくないことを無理に聞き出さない
- 心身の状態に合わせて休む時間を取る
といった関わりと、本人ができることまですべて親御さんが代わったり、生活や安全に関わることまで何も確認しなくなったりすることは分けて考えられます。
不登校への支援について文部科学省も、「厳しく登校させる」「本人にすべて任せる」といった一律の対応ではなく、お子さんの状況を把握しながら必要な支援を考える方針を示しています。
あなたの関わりはどっち?家庭でできる見分けのヒント
「甘えか、甘やかしか」をきれいに二つへ分ける基準はありません。
迷ったときは、親御さんが何を受け止めているのかを見ると整理しやすくなります。
| 見るポイント | 考え方 |
|---|---|
| 気持ち | 不安やつらさは否定せずに受け止める |
| 行動 | すべてを親御さんが代わる必要はない |
| 生活 | 心身の状態を見ながら睡眠・食事なども確認する |
| 選択 | 本人だけに判断を任せず周囲と一緒に考える |
たとえば、「今日は学校へ行けない」という気持ちを受け止めることと、「これから先も何もしなくていい」と決めることは別です。
ひかりすまいるアドバイザー今は休養が必要なのか、学校で負担を減らせる方法があるのか、家庭以外の相談先が必要なのかなど、お子さんの状態によって考える内容は変わります。
ここがポイント!
「受け止めるか、厳しくするか」の二択ではなく、気持ちは受け止めながら、必要な支援や生活については周囲と考えていくという捉え方ができます。
「甘え依存型」と呼ばれることのある状態|決めつけずに見るポイント

「甘え依存型」は、文部科学省や医療機関が使う正式な不登校の分類ではありません。
一部の支援情報などで使われてきた呼び方で、親御さんへの甘えが強い、学校の話になると不安が高まるといった様子をまとめて説明するときに使われることがあります。
ただし、似た様子は不安や学習面のつまずき、人間関係などでも見られます。
家庭内で強い安心を求める様子が見られることも
不登校になってから、親御さんのそばにいる時間が増えたり、一人で行動することを嫌がったりすることがあります。
たとえば、
- 親御さんが外出すると不安そうになる
- 一緒にいてほしいと求めることが増える
- 以前は一人でできていたことにも付き添いを求める
といった様子です。
こうした変化があると、「前より幼くなったように見える」「このままで大丈夫なのかな」と感じる親御さんもいると思います。
ただ、お子さんが不安や緊張を感じている時期には、安心できる相手をいつもより強く求めることもあります。
学校の話になると強く抵抗する・不安が高まる
普段は落ち着いていても、学校の話題になると急に表情が変わったり、話を避けたりすることがあります。
保護者の声「明日は行けそう?」
「先生から連絡が来ているよ」
といった学校に関する話題だけで、強い不安や抵抗が出る場合もあります。
文部科学省の令和6年度調査でも、不登校のお子さんについて学校が把握した事実として、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」が30.1%、「不安・抑うつの相談」が24.3%確認されています。
学校の話を嫌がる様子があるからといって、「嫌なことから逃げている」とは限りません。
学校のどの場面に負担を感じているのか、本人もまだうまく言葉にできていない場合があります。
外では気を張り、家に帰ると様子が変わることもある
学校や外出先では普通に話しているのに、家へ帰るとぐったりしたり、親御さんへの甘えが強くなったりすることもあります。
外で普通に過ごせていると、「学校でも本当は大丈夫なのでは」と思うかもしれません。
しかし、外では周囲に合わせようとして緊張していたり、人に気を遣っていたりする場合もあります。
そのため、外での様子だけでなく、
- 帰宅したあとにどのくらい疲れているか
- 外出した翌日にどう過ごしているか
- どのような場面のあとに甘えが強くなるか
といった変化も、お子さんの状態を知る手がかりになります。
自信をなくして「できない」と感じていることも
学校に行けない状態が続くなかで、「自分にはできない」「どうせ無理」と話すようになるお子さんもいます。
ひかりすまいるアドバイザー以前なら一人でできていたことでも、「一緒に来てほしい」「代わりにやってほしい」と求めることが増える場合があります。
こうした様子も、単純に「甘えている」と見るだけでは分からない部分があります。
学校生活や人間関係、勉強などでうまくいかない経験が重なり、自信をなくしている可能性もあるからです。
本人がどのような場面を「できない」と感じているのかを見ると、必要な支援も考えやすくなります。
特徴は「タイプ判定」ではなく、今の状態を見るための目安
ここまで紹介した特徴にいくつか当てはまっても、「甘え依存型だから、この対応をすればよい」と判断することはできません。
不登校のお子さんには、不安や抑うつ、生活リズム、学習、人間関係など、複数の状況が重なっている場合があります。
文部科学省も、決まったタイプに当てはめるのではなく、本人や保護者から状況を確認し、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどと一緒に整理することを重視しています。
「甘え依存型」という言葉は、お子さんを分類するためではなく、今どのような場面で不安や困りごとが出ているのかを振り返る参考程度にとどめておくのがよいでしょう。
甘えが安心を求めるサインとして表れることも

不登校になってから、「前より甘えるようになった」と感じることがあります。
親御さんのそばにいたがる、一人になるのを嫌がる、以前より話しかけてくるといった様子には、不安な時期に安心できる相手を求める気持ちが表れている場合があります。
甘えること自体を良い・悪いで判断するのではなく、そのときのお子さんの状態とあわせて見ていくことが大切です。
安心できる相手に甘えが出ることもある
心理学のアタッチメント理論では、人は不安や苦痛を感じたとき、安心できる相手とのつながりを求めると考えられています。
ひかりすまいるアドバイザーそのため、不登校になってから親御さんのそばにいたがるようになったり、以前より助けを求めたりすることも考えられます。
ただし、心理学でいう「安全基地」と、日本語でいう「甘え」は同じものではありません。
日本人の若年成人89人を対象とした研究でも、安全基地に関する指標は親子間の信頼やコミュニケーションとは関連していましたが、「甘えの受容」との関連は確認されませんでした。
「甘えてくるから親を信頼している」と決めつけるのではなく、不安なときに安心を求める行動の一つとして表れる場合がある、と考える程度がよいでしょう。
甘えが強いときは、気持ちを受け止めるだけでもよい
お子さんから甘えられると、「どこまで応えたらいいのだろう」と迷うこともあります。
すぐに学校のことを聞いたり、今後どうするのか答えを求めたりしなくても、まず話を聞くことで気持ちを整理できる場合があります。
たとえば、
- 「今日は学校のことを考えたくない」→ 無理に理由を聞き出さない
- 「一緒にいてほしい」→ 可能な範囲で一緒に過ごす
- 「自分ではできない」→ 何に困っているのかを確認する
といった関わり方があります。
すべての要求に応えるという意味ではありません。
前の見出しでご紹介したように、気持ちを受け止めることと、本人ができることまですべて親御さんが代わることは分けて考えられます。
「甘えること=悪いこと」と考えすぎなくてよい
「このまま甘えさせていたら、自立できなくなるのでは」と心配になることもあると思います。
ただ、不登校になった時期に親御さんとの距離が近くなったことだけで、今後の自立について判断することはできません。
学校に行けなくなった背景や現在の心身の状態は、お子さんによって異なります。
ひかりすまいるアドバイザー今は親御さんとの時間を多く求めていても、その後、好きなことを始めたり、家族以外の人と話したり、外へ出たりするようになる場合もあります。
大切なのは、「いつまで甘えるのか」と期限を決めることではなく、以前と比べてどのような変化があるのかを見ることです。
休養を優先したほうがよい時期もある
不登校になったあと、心身の状態によっては休養を優先したほうがよい時期があります。
文部科学省も、不登校のお子さんの状況によっては休養が必要な場合があることを示しています。
一方で、「休ませていれば自然に元気になる」と一律に考えるものでもありません。
学校との連絡をどの程度続けるか、相談先につながる必要があるか、生活面で気になる変化がないかなど、お子さんの状態に合わせて考えていきます。
元気が出てきたとしても、それがすぐに再登校につながるとは限りません。
家での過ごし方が変わる、外出が増える、学校以外の人と関われるようになるなど、変化の表れ方はさまざまです。
お子さんの気持ちの移り変わり|甘えが強く出る時期と落ち着く時期

不登校になってからの様子は、ずっと同じではありません。
親御さんとの距離が近くなる時期もあれば、少しずつ自分の好きなことに目が向く時期もあります。
ただし、すべてのお子さんが同じ順番で変化するわけではありません。
文部科学省の検討でも「休み始め」「休養期」「回復期」といった状態が示されていますが、あくまで状態を分かりやすくするための整理です。
実際には、行きつ戻りつすることもあると説明されています。
心のエネルギーが落ちている時期に見られる様子
学校を休み始めたころは、朝になると動けない、学校の話を避ける、家でもぼんやりしているなど、それまでとは違う様子が見られることがあります。
ひかりすまいるアドバイザー親御さんのそばにいたがったり、一人になることを不安がったりするお子さんもいます。
この時期は、「いつ学校へ行けそうか」「勉強はどうするか」と先のことを決めるより、まず現在の心身の状態を確認することが必要な場合があります。
文部科学省の検討でも、不登校の状態によっては「学びよりも休養を優先すべき時期」があるとされています。
不安や葛藤で揺れが大きくなる時期もある
少し元気に見えるようになっても、気持ちが安定したとは限りません。
「学校へ行かなければ」と考える一方で、「行くのは怖い」と感じるなど、本人の中でも気持ちが揺れることがあります。
前日は外出できたのに翌日はほとんど動けない、家族とは話せるようになったのに学校の話になると避ける、といった変化もあります。
そのため、一度できたことを「もう大丈夫」と捉えるより、その日の状態によって波があるものとして見たほうが、親御さんも状況を理解しやすくなります。
少しずつ元気が戻ると、過ごし方が変わることもある
心身の状態が落ち着いてくると、好きなことをする時間が増えたり、外へ出たり、家族以外の人と話したりすることがあります。
ひかりすまいるアドバイザー親御さんに何でも付き添いを求めていたお子さんが、一人でできることを少しずつ増やしていく場合もあります。
ただし、こうした変化が見られたからといって、すぐに学校へ戻れるという意味ではありません。
文部科学省の検討でも、回復傾向にある時期には「学びたい」という気持ちが出てくる場合がある一方、本人の状態を見ながら支援内容を考えることが前提になっています。
学校とのつながりを考えるお子さんもいれば、教育支援センターやフリースクールなど、学校以外の場所に関心を持つお子さんもいます。
元気が戻ることと、再登校は分けて考える必要があります。
状態は行ったり来たりする|変化を急いで判断しない
不登校になってからの変化は、一直線に進むものではありません。
文部科学省のワーキンググループでも、不登校のお子さんの状態は「行きつ戻りつする」ことを踏まえて議論する必要があるとされています。
昨日より元気そうだったのに今日はほとんど話さない、外出できるようになったのに再び家で過ごす時間が増えた、といったことも考えられます。
そのたびに「振り出しに戻った」と考える必要はありません。
甘えが増えたか減ったかだけで判断するのではなく、睡眠や食事、家での過ごし方、人との関わりなども含めて、その時々のお子さんの状態を見ることが大切です。
甘えとどう向き合う?親御さんが家庭でできる接し方

お子さんの甘えが強くなったとき、「どこまで受け止めればいいのか」「学校のことには触れないほうがいいのか」と迷うこともあると思います。
大切なのは、何でも要求どおりにすることではありません。
今のお子さんが何に困っているのかを見ながら、必要な休養や支援を考えていきます。
無理に登校させず、まず今の状態を見る
朝になると動けない、学校の話をすると強く嫌がるといった様子があるときに、登校するかどうかだけで毎日判断すると、親子ともに負担が大きくなります。
ひかりすまいるアドバイザー文部科学省も、不登校への支援について、学校へ登校するという結果だけを目標にするのではなく、本人の状態や背景を把握することを重視しています。
そのため、
- 朝になると体調が変わる
- 学校の特定の話題を嫌がる
- 人と会ったあとの疲れが強い
- 家でもほとんど動けない
など、普段の様子も含めて見ていくことが大切です。
「今日は行けるか」だけでなく、今どの程度の負担なら受け止められるのかを考えると、必要な支援も整理しやすくなります。
小さな変化を「登校できたか」だけで判断しない
不登校になってからの変化は、登校できたかどうかだけに表れるわけではありません。
たとえば、
- 朝起きる時間が少し早くなった
- 食事を家族と取れるようになった
- 好きなことをする時間が増えた
- 家族以外の人と話せた
- 近所へ出かけられた
といった変化が見られることもあります。
こうした変化が、そのまま学校復帰につながるとは限りません。
一方で、お子さんの活動範囲や人との関わり方が変わってきたことを知る手がかりにはなります。
「学校へ行けたら前進、行けなかったら後退」と考えるより、以前と比べて過ごし方がどう変わっているかを見るほうが、今の状態を捉えやすくなります。
指示や励ましより、本人の話を聞く時間を持つ
親御さんとしては、「少し外に出てみたら?」「明日は行けそう?」と声をかけたくなることもあります。
ただ、お子さん自身も「行かなければ」と分かっているのに動けず、気持ちを整理できていない場合があります。
そのようなときは、すぐに答えや次の行動を決めるより、本人が話したことを聞く時間を持つほうが状況を把握しやすくなります。
何も話したがらない日まで、理由を聞き出す必要はありません。
本人だけでは言葉にしにくい場合は、スクールカウンセラーなど家族以外の人が入ることで、困っていることが整理できる場合もあります。
ひかりすまいるアドバイザー文部科学省も、本人や保護者との話し合いに加え、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを含めて状況を把握することを求めています。
親御さん自身が相談できる場所を持ってもよい
お子さんの様子を毎日見ながら、「今日はどう接したらいいのだろう」と考え続けることは、親御さんにとっても負担になります。
特に、配偶者や祖父母と考え方が違ったり、学校との連絡を一人で担っていたりすると、親御さん自身が疲れてしまうこともあります。
そのため、相談先はお子さん本人だけが利用するものではありません。
スクールカウンセラーや教育相談、教育支援センターなどでは、保護者だけで相談できる場合もあります。
「親が余裕を持たなければいけない」と考えるのではなく、親御さん側にも話せる相手がいる状態をつくることが大切です。
家庭だけで抱えないために|相談先と居場所という選択肢

「甘えなのか」「どこまで受け止めればいいのか」と、ご家庭だけで答えを出す必要はありません。
不登校について相談できる公的な窓口や、学校以外で過ごせる場所があります。
お子さん本人がまだ外へ出るのが難しい場合でも、親御さんだけで相談できるところもあります。
不登校について相談できる公的な窓口
相談先は、お子さんの状況や親御さんが困っていることに合わせて選べます。
| 相談先 | 相談できること |
|---|---|
| スクールカウンセラー | 心理面や学校生活について |
| 教育相談・教育センター | 不登校や学校生活全般について |
| 教育支援センター | 相談や学校外での過ごし方について |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子どもや保護者からの悩み相談 |
教育支援センターは、教育委員会などが設置する公的な支援機関です。
相談だけでなく、通所して過ごしたり、学習したりできるところもあります。
ただし、すべての市区町村に同じ名称・内容の施設が設置されているわけではありません。
お住まいの地域によって利用できる窓口や支援内容は異なります。
ひかりすまいるアドバイザーまた、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」は、子どもだけでなく保護者も利用できます。
学校以外にも安心して過ごせる居場所がある
学校へ行くことが難しい時期には、教育支援センターやフリースクール、オンラインで参加できる居場所なども選択肢になります。
どこかへ通うことを急ぐ必要はありませんが、「学校か自宅か」だけで考えなくてもよいことを知っておくと、選択肢を広げられます。
小学生・中学生については、学校外や自宅で行った学習も、一定の要件を満たせば成績評価に反映される場合があります。
2024年8月29日の文部科学省通知では、不登校のお子さんが欠席中に行った学習について、学校との継続的な連携など一定の要件を満たす場合、学校の判断で学習成果を成績評価に考慮できることが明確になりました。
フリースクールに通ったり自宅で学習したりすれば、自動的に成績へ反映される制度ではありません。
在籍校との情報共有や学習内容などを踏まえて判断されます。
お子さんに合う居場所は何を見て選ぶ?
居場所を探すときは、「有名か」「勉強できるか」だけでなく、今のお子さんが無理なく利用できそうかを見ることが大切です。
確認したいポイントは次のように整理できます。
- 本人が落ち着いて過ごせそうか
- 通う日数や時間を相談できるか
- 活動や学習への参加を強く求められないか
- スタッフに相談しやすそうか
- 在籍校との連携に対応しているか
- 費用や通いやすさを含め、ご家庭で続けられそうか
ひかりすまいるアドバイザー特にフリースクールは、居場所を中心にしたところ、学習にも対応するところ、体験活動が多いところなど方針が異なります。
「不登校ならこの場所が合う」と一括りにはできないため、お子さんの今の状態と施設の過ごし方が合っているかを確認していきます。
相談・見学は「決める場」ではなく「知る場」でいい
相談したから、その支援を利用しなければならないわけではありません。
フリースクールを見学したから、すぐに通うと決める必要もありません。
ひかりすまいるアドバイザーどのような場所なのか、どんな過ごし方ができるのか、今のお子さんでも利用できそうなのかを知るだけでも、今後を考えるための情報になります。
お子さんがまだ見学へ行けない場合は、親御さんだけで話を聞ける施設もあります。
家庭だけで「甘えなのか」「どう対応すればいいのか」と考え続けるのではなく、必要に応じて学校や公的な相談先、学校外の居場所などから情報を得ながら、お子さんとご家庭に合う方法を整理していくことができます。
不登校と「甘え」に関するよくある質問

不登校と「甘え」について、親御さんが迷いやすい点をまとめました。
不登校の子どもを甘えさせすぎると、余計に学校へ行けなくなりませんか?
甘えを受け止めることと、要求をすべて通すことは別です。
心身の状態によっては休養を優先したほうがよい時期もありますが、ずっと家庭だけで様子を見るという意味ではありません。
お子さんの状態を見ながら、必要に応じて学校や相談先とのつながりを持つことも大切です。
「甘え」と「甘やかし」は、家庭ではどう見分ければいいですか?
明確な線引きがあるわけではありません。
「つらい」「不安」といった気持ちを受け止めることと、本人ができることまですべて親御さんが代わったり、どんな要求でもそのまま認めたりすることは分けて考えられます。
気持ちは受け止めながら、生活や支援についてはお子さんの状態に合わせて考えていくという整理がしやすいでしょう。
昼夜逆転やゲームばかりの生活も「甘え」なのでしょうか?
昼夜逆転やゲームをしていることだけで「甘え」とは判断できません。
令和6年度の文部科学省調査では、「生活リズムの不調に関する相談」が25.0%確認されていますが、生活リズムの乱れが不登校の原因だったと示す数字ではありません。
学校へ行けなくなったあとに生活時間がずれる場合もあるため、生活全体の変化を見て考える必要があります。
甘えを受け止めると、どのくらいの期間で落ち着いてきますか?
「何か月で落ち着く」といった目安はありません。
文部科学省の検討でも、不登校のお子さんの状態は「休み始め」「休養期」「回復期」などに整理されていますが、同じ順番で進むものではなく、行きつ戻りつすることもあるとされています。
期間よりも、睡眠や食事、家での過ごし方、人との関わりなどが以前とどう変わっているかを見るほうが、状態を捉えやすくなります。
家庭だけで対応するのが限界です。どこに相談できますか?
学校のスクールカウンセラーや教育相談、教育支援センターなどがあります。
お子さん本人がまだ相談へ行けない場合でも、親御さんだけで相談できる窓口があります。
夜間や休日に相談したい場合は、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」も利用できます。
まとめ

最後にこちらの記事をまとめていきましょう。
こちらの記事では、
- 不登校と「甘え」の捉え方
- 「甘え」と「甘やかし」の違い
- 「甘え依存型」と呼ばれる状態
- 甘えが強く出る時期と家庭での接し方
- 不登校について相談できる窓口や居場所
などについてご紹介しました。
記事の内容をまとめると、不登校は「甘え」の一言だけで説明できるものではありません。
家では元気に見える、親御さんへの甘えが増えたといった様子だけで、「本当は学校へ行ける」「甘やかしている」と判断することもできません。
不安や生活リズム、学習、人間関係など、さまざまな背景が関係している場合があります。
| 気になること | 記事で分かったこと |
|---|---|
| 不登校は甘え? | 「甘え」だけで状況を説明することはできない |
| 甘えと甘やかし | 気持ちを受け止めることと、要求をすべて通すことは別 |
| 甘え依存型 | 正式な分類ではなく、状態を見る参考程度の呼び方 |
| 甘えが強い時期 | 状態によって変化し、行きつ戻りつすることもある |
| 家庭だけで難しいとき | 学校や教育相談、教育支援センターなどに相談できる |
「甘えを受け止めるか、厳しくするか」の二択で考える必要はありません。
お子さんの心身の状態や生活、人との関わりなどを見ながら、休養が必要なのか、学校で調整できることがあるのか、家庭以外の相談先や居場所が必要なのかを整理していくことが大切です。
ご家庭だけでは判断しにくい場合には、スクールカウンセラーや教育相談、教育支援センターなど、親御さんが相談できる場所もあります。
ひかりすまいるアドバイザーお子さんの今の状態に合わせて、利用できる支援や過ごし方を確認していきましょう



